あかいガラスのきゅうでん
赤いガラスの宮殿

冒頭文

独(ひと)りものの平三(へいぞう)は、正直(しょうじき)な人間(にんげん)でありましたが、働(はたら)きがなく、それに、いたって無欲(むよく)でありましたから、世間(せけん)の人々(ひとびと)からは、あほうものに見(み)られていました。 「あれは、あほうだ。」と、いわれると、それをうち消(け)すもののないかぎり、いつしか、そのものは、まったくあほうものにされてしまうばかりでなく、当人(とうにん)

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1929(昭和4)年1月

底本

  • 定本小川未明童話全集 6
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年4月10日