トムきちとほうせき
トム吉と宝石

冒頭文

遠(とお)い、あちらの町(まち)の中(なか)に、宝石店(ほうせきてん)がありました。 ある日(ひ)のこと、みすぼらしいふうをした娘(むすめ)がきて、 「これを、どうぞ買(か)っていただきたいのですが。」といって、小(ちい)さな紙包(かみづつ)みの中(なか)から、赤(あか)い魚(うお)の目(め)のように、美(うつく)しく光(ひか)る石(いし)のはいった指輪(ゆびわ)を出(だ)してみせました。

文字遣い

新字新仮名

初出

「日の出 1巻2号」1932(昭和7)年9月

底本

  • 定本小川未明童話全集 8
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年6月10日