おきくとおとうと
おきくと弟

冒頭文

空(そら)が曇(くも)っていました。 正(しょう)ちゃんが、学校(がっこう)へゆくときに、お母(かあ)さんは、ガラス戸(ど)から、外(そと)をながめて、 「今日(きょう)は、降(ふ)りそうだから雨(あま)マントを持(も)っておいで。」と、注意(ちゅうい)なさいました。「じゃまでしかたないんだよ。もしか、降(ふ)ったら、一、二っと駈(か)けだしてくるから。」と、答(こた)えて正(しょう)ちゃん

文字遣い

新字新仮名

初出

「国民新聞」1931(昭和6)年2月1日

底本

  • 定本小川未明童話全集 8
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年6月10日