とおのものがたり
遠野物語

冒頭文

初版序文 この話はすべて遠野の人佐々木鏡石君より聞きたり。昨明治四十二年の二月頃より始めて夜分をりをり訪ね来たり、この話をせられしを筆記せしなり。鏡石君は話上手にはあらざれども誠実なる人なり。自分もまた一字一句をも加減せず感じたるままを書きたり。思ふに遠野郷にはこの類の物語なほ数百件あるならん。われわれはより多くを聞かんことを切望す。国内の山村にして遠野よりさらに物深き所には、また無数の山神山人

文字遣い

新字旧仮名

初出

「遠野物語」柳田國男、1910(明治43)年6月14日

底本

  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺
  • 角川文庫、角川書店
  • 1955(昭和30)年10月5日