雲雀(ひばり)も啼(な)かぬ日(ひ) 一 河が吼(ほ)えるように河の底から、船頭の大きな声が、 「——船止(ふなど)めだとようっ」 「六刻(むつ)かぎりで、川筋も陸(おか)も往来止めだぞうっ」 船から船へ、呶鳴り交(か)わしてから触れ合っていた。 下総(しもうさ)の松戸の宿場。 雪はやっと、降りやんではいたが—— きのうからの大雪は、この