飢餓山河 一 「彦太承知だの」「む、行く」「二十日の寄合いにゃ、きっと、顔を出してくれや。村の者あ、おぬしが力だ。腕も弁もあるしの、学問だって、青梨村(あおなしむら)じゃ、何というても、彦太だもんのう」 大庄屋の息子と、老百姓が二、三名と、それを焚(た)きつけてる郷士(ごうし)の伜とが、こっそり籾蔵(もみぐら)から帰って行った。 彦太は、家の裏口を見張りながら、時候ちがいの冷露で、黒い枯れッ