しほんたいへいき 11 つくしじょう
私本太平記 11 筑紫帖

冒頭文

瘧(ぎゃく) 妙な噂が立った。 それも宮中からである。正成諫奏(かんそう)の直後だった。 「河内守が乱心した」 「いや気鬱(きうつ)の程度だとか」 「何、そうでない。君前にてあるまじき狂語を吐き、ために謹慎を命じられたものだそうな」 「さよう。自分の聞いたところもそれに近い」 と、いったような臆測まじりの風聞(ふうぶん)だった。 公卿目、公卿耳

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 私本太平記(七)
  • 吉川英治歴史時代文庫、講談社
  • 1990(平成2)年4月11日