しほんたいへいき 10 かざばなじょう
私本太平記 10 風花帖

冒頭文

野分(のわけ)のあと 敗者の当然ながら、直義(ただよし)の三河落ちはみじめであった。 淵辺伊賀守の斬り死になどもかえりみてはいられず——敵に追われどおしで、とくに手越河原では残りすくない将士をさらにたくさん失い、今川、名児耶(なごや)・細川、斯波(しば)など一族子弟の討死も幾人かしれなかった。 ついに、ここでは直義も進退きわまったとみてか、 「腹掻き切って、左兵衛(

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 私本太平記(七)
  • 吉川英治歴史時代文庫、講談社
  • 1990(平成2)年4月11日