しほんたいへいき 08 にったじょう |
| 私本太平記 08 新田帖 |
冒頭文
大江山(おおえやま) 不破から西は、一瀉千里(いっしゃせんり)の行軍だった。この日すでに、足利軍五千は、湖畔の野洲(やす)の大原をえんえんと急いでいた。 「都へ着いても、おそらくは食糧難か」 と、三河仕立ての輜重隊(しちょうたい)をひきつれていたことである。たくさんな牛車や馬列はいつもおくれがちで、ムチを振る足軽たちは、顔まで泥のハネにしていた。 伊吹(いぶき)では、道誉(どうよ)が、加盟の
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 私本太平記(五)
- 吉川英治歴史時代文庫、講談社
- 1990(平成2)年4月11日