しほんたいへいき 07 ちはやじょう |
| 私本太平記 07 千早帖 |
冒頭文
勝負(しょうぶ)の壇(だん) 正成は弓杖をつき、すこし跛(びっこ)をひいていた。 もっとも、千早の城兵はいま、五体満足なのはほとんど少ない。将たちもみなどこかには、怪我か手傷を負(お)ッていた。 でなければ病人である。 「……が、了現(りょうげん)」 いま、その病棟(びょうとう)を見舞って出てきた正成は、うしろの、安間了現をふりむいて、 「意外にみな元気だな。山上にもやっと木の芽や草が
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 私本太平記(四)
- 吉川英治歴史時代文庫、講談社
- 1990(平成2)年3月11日第1刷