さんごくし 12 へんがいよろく
三国志 12 篇外余録

冒頭文

諸葛菜(しょかつさい) 一 三国鼎立(ていりつ)の大勢は、ときの治乱が起した大陸分権の自然な風雲作用でもあったが、その創意はもともと諸葛孔明(しょかつこうめい)という一人物の胸底から生れ出たものであることは何としても否(いな)みがたい。まだ二十七歳でしかなかった青年孔明が、農耕の余閑、草廬(そうろ)に抱いていた理想の実現であったのである。時に、三顧(こ)して迎えた劉玄徳(りゅうげん

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 三国志(八)
  • 吉川英治歴史時代文庫、講談社
  • 1989(平成元)年5月11日