さんごくし 05 しんどうのまき |
| 三国志 05 臣道の巻 |
冒頭文
煩悩攻防戦(ぼんのうこうぼうせん) 一 呂布(りょふ)は、櫓(やぐら)に現れて、 「われを呼ぶは何者か」と、わざと云った。 泗水(しすい)の流れを隔てて、曹操の声は水にこだまして聞えてきた。 「君を呼ぶ者は君の好き敵である許都(きょと)の丞相(じょうしょう)曹操だ。——しかし、君と我と、本来なんの仇があろう。予はただご辺が袁術(えんじゅつ)と婚姻を結ぶと聞いて、攻め下ってきたまでである。なぜ
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 三国志(三)
- 吉川英治歴史時代文庫、講談社
- 1989(平成元)年4月11日