なるとひちょう 05 つるぎさんのまき
鳴門秘帖 05 剣山の巻

冒頭文

吉兆(きっちょう)吉運(きちうん) それから四、五十日の日が過ぎた。 暑い。 南国らしい暑さの夏! 雄大な雲の峰の下に、徳島の城下は、海の端(はし)に平たく見えて、瓦(かわら)も焼けるようなギラギラする陽(ひ)に照らされている。 カチ、カチ、カチ! たえまのない石工(いしく)の鑿(のみ)のひびきが、炎天にもめげず、お城のほうから聞えてくる。町人の怠惰(たい

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 鳴門秘帖(三)
  • 吉川英治歴史時代文庫4、講談社
  • 1989(平成元)年9月11日