なるとひちょう 04 ふなじのまき
鳴門秘帖 04 船路の巻

冒頭文

心の地震 鬱然(うつぜん)とした大樹はあるが、渭山(いやま)はあまり高くない。山というよりは丘である。 西の丸、本丸、楼台(ろうだい)、多門など——徳島城の白い外壁は、その鬱蒼(うっそう)によって、工芸的な荘重と歴史的な錆(さび)をのぞませ、東南ひろく紀淡(きたん)の海をへいげいしていた。 城下をめぐる幾筋もの川は、自然の外濠(そとぼり)や内濠のかたちをなし、まず平城

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 鳴門秘帖(三)
  • 吉川英治歴史時代文庫4、講談社
  • 1989(平成元)年9月11日