なるとひちょう 02 えどのまき |
| 鳴門秘帖 02 江戸の巻 |
冒頭文
お千絵様 みぞれ模様の冬空になった。明和(めいわ)二年のその年も十一月の中旬(なかば)を過ぎて。 ここは江戸表——お茶の水の南添いに起伏している駿河台(するがだい)の丘。日ごとに葉をもがれてゆく裸木(はだかぎ)は、女が抜毛(ぬけげ)を傷(いた)むように、寒々と風に泣いている。 虱(しらみ)しぼりの半手拭(はんてぬぐい)を月代(さかやき)に掛けて、継(つぎ)の当った千種(ちぐさ)の股引(も
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 鳴門秘帖(一)
- 吉川英治歴史時代文庫2、講談社
- 1989(平成元)年9月11日