みやもとむさし 08 えんみょうのまき
宮本武蔵 08 円明の巻

冒頭文

春告鳥(はるつげどり) 一 ここは、鶯(うぐいす)の名所。 柳生(やぎゅう)の城のある柳生谷—— 武者溜りの白壁に、二月の陽がほかりと映(さ)して、槍梅(やりうめ)の影が一枝、静かな画になっている。 南枝(なんし)の梅花(うめ)は誘っても、片言(かたこと)の初音(はつね)の声は、まだ稀にしか聞かれないが、野路や山路の雪が解けると共に、めっきり殖(ふ)え

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 宮本武蔵(七)
  • 吉川英治歴史時代文庫20、講談社
  • 1990(平成2)年1月11日