すずめのたまご
雀の卵

冒頭文

大序 一 「雀の卵」が完成した。いよいよ完成した。と、思ふと思はず深い溜息がつかれた。ほつとしたのである。 今、四校目の訂正をして、やつと済ましたところである。窓から見てゐると裏の小竹林には鮮緑色の日光が光りそよいでゐる。丘の松には蝉が鳴いて、あたりの草むらにも草蝉が鳴きしきつてゐる。南のバルコンに出て見ると、海がいい藍色をしてゐる。寺内の栗やかやの木や孟宗の涼しい風の上を燕

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 白秋全集 7
  • 岩波書店
  • 1985(昭和60)年3月5日