わるいはな
わるい花

冒頭文

花屋の前を通り過ぎた。威勢(ゐせい)よく反身(そりみ)になつてゐる花もある、しよんぼりと絶え入つてゐる花もある、その花屋の前を通りすがると、妙に氣を搖(そゝ)る意地の惡い香がした、胸苦しいほど不思議の香がした。そこでなかへ入つて行つて尋(き)いてみた。 「おかみさん、どうぞ、その花をお呉んなさい、その一つで三つの花、薔薇と鈴振花(すゞふりばな)と茉莉花(まつりくわ)の三つの香がする薫(かほり

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 上田敏詩集
  • 玄文社詩歌部
  • 1923(大正12)年1月10日