リシダス
リシダス

冒頭文

今一たびは、あはれ桂よ。今一たびは なれ鳶色のみるて樹(じゆ)よ。鳶よ、ときはの。 我は來り、摘まんとすなり、みのり淺き澁きなが果(み)を。 強ひてする指もなめげに なが葉をぞ、打ちふるふなる、みのり時、まだ來ぬ前に。 胸にせまる、にがき思、いともいとも悲しき事の、 我を強ひ、時ならぬ汝(な)を、さわがしむなる。 その故よ、リシダス逝きぬ、逝きにけりな、盛りのまへに、 うらわかき、

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 上田敏詩集
  • 玄文社詩歌部
  • 1923(大正12)年1月10日