かいひょうとくも
海豹と雲

冒頭文

序 風格高うして貴く、気韻清明にして、初めて徹る。虚にして満ち、実にしてまた空しきを以て、詩を専に幻術の秘義となすであらう。 鳥の翺る、ただに尋常の行であらうか。海豹の水に遊ぶ、誰かまた険難の業とのみ判じよう。雲は太古にして若く、波は近う飜つて、かへつて帰する際涯を知らない。 詩は我が生来の道である。その表現の玄微に好んで骨を鏤る。畢竟は我がふたつなき楽みを我と楽むの

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 白秋全集 5
  • 岩波書店
  • 1986(昭和61)年9月5日