はかたにて
博多にて

冒頭文

1 人力車で旅行していて、できるのはあたりを眺めることと夢見ることくらいである。揺れるので読書はできないし、自分のと連れの人力車が2台並んで走れるような道幅があったとしても、車輪の回る音や風の音がするので会話することもできない。日本の景色の特徴にも慣れてくると、旅行の間、長い休憩の時を除けば、強く印象づけられるような新規な事柄でもなければ、もう見ようともしないのである。道は、たいがいは水

文字遣い

新字新仮名

初出

底本