そらのあかきをみて
空の赤きを見て

冒頭文

人物 周蔵周一兼子美代医師宮下東京の裏町——周蔵一家の住居座敷に通ずる茶の間 座敷は周蔵の病室になつてゐる。屏風の陰から時々、力のない咳が聞える。 兼子  (茶の間で火をおこしながら)又、お咳が出ますね。今すぐお薬をあげますから、独りでお起きになつちやいけませんよ。周蔵  …………。兼子  急ぐ時には、ほんとに困つちまふ、この炭は……。(かう云つて、座をたつ。奥にはひる。やがて、奥で)あら、お

文字遣い

新字旧仮名

初出

「婦女界 第三十六巻第六号」1927(昭和2)年12月1日

底本

  • 岸田國士全集3
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年5月8日