かんかいんのたいこ(にば)
感化院の太鼓(二場)

冒頭文

麦太郎繭子海老子夫人女事務員葱沢院長袖原さん其他無言の人物 第一場 公園の一隅——杉の木立を透して黒板塀が続いて見え、梅雨晴れの空に赤瓦が光つてゐる。 小径を前にして朽ちかけたベンチが一つ、サイダアの空瓶や新聞紙の丸めたのや蹈みつけられた折などがあたりに散らかつてゐる。 繭子を先頭に、麦太郎、海老子夫人が現はれる。繭子は水色のパラソルをさした二十三四歳の未婚者。麦太郎は金釦の制服に

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新潮 第二十五年第九号」1928(昭和3)年9月1日

底本

  • 岸田國士全集3
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年5月8日