くろひ |
| 黒檜 |
冒頭文
序 黒檜の沈静なる、花塵をさまりて或は識るを得べきか。 薄明二年有半、我がこの境涯に住して、僅かにこの風懐を遣る。もとより病苦と闘つて敢て之に克たむとするにもあらず、幽暗を恃みて亦之を世に愬へむとにもあらず、ただ煙霞余情の裡、平生の和敬ひとへに我と我が好める道に終始したるのみ。 「黒檜」一巻、秘して寧ろ密かに我といつくしむべく、梓に上して些か我が真実の謬られむことをおそる。他に言ふとこ
文字遣い
新字旧仮名
初出
「黒檜」八雲書林、1940(昭和15)年8月13日
底本
- 歌集 黒檜
- 短歌新聞社文庫、短歌新聞社
- 1994(平成6)年8月25日