にっこうのこうよう
日光の紅葉

冒頭文

春の花は見るが野暮なり、秋の紅葉は見ぬが野暮なりと独り諺をこしらへて其言ひわけに今年は日光の紅葉狩にと思ひ付きぬ。先づ鳴雪翁をおとづれてしか〴〵のよしをいへば翁病の床より飛び起きて我も行かんと勇み給ふ。さらば思ひ立つ日を吉日として上野より汽車を駆り宇都宮に一泊せし日は朝来の大雨盆を傾けていつ晴るべしとも知らぬに何が吉日ぞ。こゝはいくさの跡とてはたごやはまだ何となく騒がしきに強ひて一夜の憐を請ふて木

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 花の名随筆11 十一月の花
  • 作品社
  • 1999(平成11)年10月10日