みかんやまさんさく
蜜柑山散策

冒頭文

蜜柑山でも見に行かうかと、日向ぼつこから私が立つと、夕暮君も、それはよからうと続いて立ち上つた。竹林の昼餐をやつと済ますと、私たちは裏の別荘の丘に席を移して、山と海との大観をそれまでほしいままに楽しんでゐたのである。いい冬晴の午後三時過ぎ、空には微塵の雲も無かつた。日は双子の山の上に、ちやうど「日光」の表紙画のやうに、十方に放射光を輝かしてゐた。 「では、後からお銭(あし)と籠を婢(ねえ)や

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 花の名随筆11 十一月の花
  • 作品社
  • 1999(平成11)年10月10日