おんなのすがた
女の姿

冒頭文

明治三十年比(ごろ)のことであったらしい。東京の本郷(ほんごう)三丁目あたりに長く空いている家があったのを、美術学校の生徒が三人で借りて、二階を画室にし下を寝室にしていた。 夏の夜(よ)のことであった。その晩はそのあたりに縁日(えんにち)があるので、夕飯(ゆうはん)がすむと二人の者は散歩に往こうと云いだしたが、一人は従わなかった。 「杖頭(こづかい)もないのに厭(いや)なこった」

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談大全 第二巻 幽霊の館
  • 国書刊行会
  • 1995(平成7)年8月2日