おっかけてくるひこうき
追っかけて来る飛行機

冒頭文

昭和六年の夏の夜(よ)のことであった。大連(たいれん)で夜間飛行の練習をやっていると、計器盤のある処に点(つ)いているライトの光で、その黒塗(くろぬり)の計器盤に、己(じぶん)の乗っている飛行機の後(うしろ)から、今一台の飛行機がやはり同じ方向に向って飛んで来るのが映(うつ)った。 そんなことはない、錯覚だ、と思いながら計器盤を見るとやはり映っている。とうとううす鬼魅(きみ)が悪くなって

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談大全 第二巻 幽霊の館
  • 国書刊行会
  • 1995(平成7)年8月2日