おんなのかいいい
女の怪異

冒頭文

ぼつぼつではあるが街路(とおり)の左右に点(つ)いた街路照明の電燈の燈(ひ)を見ると菊江はほっとした。菊江はこの数年来の不景気のために建物の塞(ふさ)がらない文化住宅の敷地の中を近路(ちかみち)して来たところであった。 微曇(うすぐもり)のした空に月があって虫の音(ね)が一めんにきこえていた。街路(とおり)には沙利(じゃり)を敷いてあった。菊江はその街路(とおり)を右の方へ往った。その街

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談大全 第一巻 女怪の館
  • 国書刊行会
  • 1995(平成7)年7月10日