ぎふちょうちん
岐阜提灯

冒頭文

Ⅰ 真澄(ますみ)はその晩も台所へ往って、酒宴(さかもり)の後しまつをしている婢(じょちゅう)から、二本の残酒(のこりざけ)と一皿の肴(さかな)をもらって来て飲んでいた。事務に不熱心と云うことで一年余り勤めていた会社をしくじり、母の妹の縁づいている家で世話になって勤め口を捜しているが、折悪しく戦後の不景気に出くわしたので口が見つからないけれども、生れつきの暢気(のんき)な彼は、台所の酒を

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談大全 第一巻 女怪の館
  • 国書刊行会
  • 1995(平成7)年7月10日