ぶんようでん
文妖伝

冒頭文

乳色をしたグローブから漏(も)れる朧夜(おぼろよ)の月の光を盛ったような電燈の光、その柔かな光に輪廓のはっきりした姝(きれい)な小さな顔をだした女給のお葉(よう)は、客の前の白い銚子を執(と)って、にっと笑いながらぽっちり残っている盃(さかずき)に注(つ)いだ。 「どうだね」 客は五十前後の顔の赧(あか)黒く脂(あぶら)やけにやけた、金縁の眼鏡(めがね)をかけた男で、ずんぐりした体を被

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談大全 第一巻 女怪の館
  • 国書刊行会
  • 1995(平成7)年7月10日