おとこのかお
男の顔

冒頭文

季節は何時(いつ)であったか聞きもらしたが、市(いち)ヶ谷(や)八幡(はちまん)の境内(けいだい)で、壮(わか)い男と女が話していた。話しながら女の方は、見るともなしに顔をあげて、頭の上になった銀杏(いちょう)の枝葉を見た。すると、青葉の間に壮い男の顔があって、じっと女の顔を見つめた。それは、その女のもとの情人(じょうじん)で、先年病死した男の顔であった。女はびっくりして倒れようとした。男は驚いて

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談大全 第二巻 幽霊の館
  • 国書刊行会
  • 1995(平成7)年8月2日