ゆびわ
指環

冒頭文

ふと眼を覚ましてみると、電燈の光が微紅(うすあか)く室(へや)の中を照らしていた。謙蔵(けんぞう)はびっくりして眼を睜(みは)った。彼は人のいない暗い空家の中へ入って寝ているので、もしや俺は夢でも見ているのではないかと思って、己(じぶん)の体に注意してみた。右枕(みぎまくら)に寝て右の手を横にのびのびと延ばし、左の手を胸のあたりに置いている己の姿が眼に映った。そのうえ駒下駄(こまげた)を裏合(うら

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談大全 第二巻 幽霊の館
  • 国書刊行会
  • 1995(平成7)年8月2日