Ⅰ 建久(けんきゅう)九年十二月、右大将家(うだいしょうけ)には、相模川(さがみがわ)の橋供養の結縁(けちえん)に臨(のぞ)んだが、その帰途馬から落ちたので、供養の人びとに助け起されて館(やかた)へ帰った。その橋供養と云うのは、北条遠江守(ほうじょうとおとうみのかみ)の女(むすめ)で、右大将家の御台所政子(みだいどころまさこ)には妹婿(いもうとむこ)になる稲毛(いなげ)三郎重成(しげなり)が、そ