すずめがもりのかいい
雀が森の怪異

冒頭文

明治——年六月末の某夜(あるよ)、彼は夜のふけるのも忘れてノートと首っぴきしていた。彼は岐阜市の隣接になった某町の豪農の伜(せがれ)で、名もわかっているがすこし憚(はばか)るところがあるので、彼と云う代名詞を用いることにする。彼は高等学校の学生で、その時は学期試験であった。 そこは仙台市の場末の町であった。寒い東北地方でも六月の末はかなり気温がのぼっていた。彼はセル一枚になっていた。夕方

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談大全 第二巻 幽霊の館
  • 国書刊行会
  • 1995(平成7)年8月2日