ひとのいないひこうき
人のいない飛行機

冒頭文

航空兵少佐の某君が遭遇した実話である。 某飛行場に近い畑の中に、一台の軍用機がふわりふわりと降りて来た。勿論(もちろん)プロペラーの回転を落した空中滑走である。 空は紺青(こんじょう)色に晴れていた。附近で働いていた百姓たちが、 「飛行機だ」 「飛行機が降りた」 と云って、着陸した飛行機にちかづいて見ると何人(だれ)もいない。 「なんだ、人がいねえじゃねえか

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談大全 第二巻 幽霊の館
  • 国書刊行会
  • 1995(平成7)年8月2日