つづみのね
鼓の音

冒頭文

柳橋(やなぎばし)の船宿(ふなやど)の主翁(ていしゅ)は、二階の梯子段(はしごだん)をあがりながら、他家(よそ)のようであるがどうも我家(うち)らしいぞ、と思った。二階の方では、とん、とん、とん、と云う小鼓(こつづみ)の音がしていた。 風の無い晴れきった、世の中がうつらうつらしているようにおもわれる春の日の正午(ひる)過ぎであった。数多(たくさん)抱えている婢(じょちゅう)達は、それぞれ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談大全 第二巻 幽霊の館
  • 国書刊行会
  • 1995(平成7)年8月2日