あいがめ
藍瓶

冒頭文

玄関の格子戸(こうしど)がずりずりと開(あ)いて入って来た者があるので、順作は杯(さかずき)を持ったなりに、その前に坐った女の白粉(おしろい)をつけた眼の下に曇(くもり)のある顔をちょと見てから、右斜(みぎななめ)にふりかえって玄関のほうを見た。そこには煤(すす)けた障子(しょうじ)が陰鬱(いんうつ)な曇日(くもりび)の色の中に浮いていた。 「何人(たれ)だろう」 何人にも知れないよう

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談大全 第二巻 幽霊の館
  • 国書刊行会
  • 1995(平成7)年8月2日