むいかづき
六日月

冒頭文

朝早く一乗寺村を歩いて、それから秋晴の八瀬大原、帰りに鞍馬へ登って山端(やまばな)の駅まで戻って来ると、折から小春日の夕日を受けた叡山が、ぽか〳〵と如何にも暖かそうな色をして居るので、つい誘われて再び八瀬へ取って返し、其処から山を踰(こ)えて坂本へ下りてしまった。我れながら余りの愚しき勇猛が悔いられて、その夜は心静かに高台寺の下を歩く。 秋も漸く深い夜を、東山の影は黒々と眠って居たが、恵

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆58 月
  • 作品社
  • 1987(昭和62)年8月25日