こんじきやしゃ
金色夜叉

冒頭文

前編 第一章 未(ま)だ宵ながら松立てる門は一様に鎖籠(さしこ)めて、真直(ますぐ)に長く東より西に横(よこた)はれる大道(だいどう)は掃きたるやうに物の影を留(とど)めず、いと寂(さびし)くも往来(ゆきき)の絶えたるに、例ならず繁(しげ)き車輪(くるま)の輾(きしり)は、或(あるひ)は忙(せはし)かりし、或(あるひ)は飲過ぎし年賀の帰来(かへり)なるべく、疎(まばら)に寄する獅子太鼓(ししだ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「読売新聞」1897(明治30)年1月1日~1902(明治35)年5月11日

底本

  • 金色夜叉
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1969(昭和44)年11月10日