いま生きて居れば、すくなくとも百ちかい年の人であらう。或は百を踰(こ)える年なのかも知れない。明治時代の海軍の軍医である。その頃の軍艦といふものは、厳(いか)めしくはあるが同時に美しいもので、それはただ平和を保障する象徴のやうな時代であつた。ふねも小さく、たかだか二三千噸のものが大きい方で、到るところの小さい港まで訪問して、人民たちに敬はれ、喜ばれ、珍しがられ、愛された時代であった(ママ)。