わしじゅうねん
和紙十年

冒頭文

一 之は思出の記である。物語はこの本に差挟んだ幾つかの和紙に関してである。選んだものは何も諸国の紙々に行き渡つてゐるのではない。又之で昔の紙の歴史を語らうとするのでもない。たまたまゆかりあつてこの十年の間、私が与つてきた紙を想ひ起すためなのである。だから新しく生み得たものが主である。その多くには私の友達の敬ふべき技が加へられた。さうして是等のものは、先づ私が用ゐたいものであり又現に多くは

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆68 紙
  • 作品社
  • 1988(昭和63)年6月25日