きょうとのあさいち
京都の朝市

冒頭文

私は大正の終りから昭和の八年まで足掛九年も京都に住んだが、今から想うと、もっとよくこの旧都やその周辺の文化の跡を見ておくべきであった。由緒のある社寺はもとよりだが、近辺の聚落やその生活などにも更に親しむべきであった。それに見落したのはこの古い都に今も数々伝わる手工芸の工房である。それを遍ねく訪ねて、技術の工程や出来上る品物を、よく見届けておくべきであった。工芸の種目は驚くほどの数に上ろう。この点で

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆5 陶
  • 作品社
  • 1982(昭和57)年10月25日