くびのうえのアンナ
頸の上のアンナ

冒頭文

一 結婚式のあとではちょっとした茶菓さえ出なかった。新夫婦はシャンパンの盃を挙げて、それから直ぐ旅行服に着替えると停車場へ乗りつけた。陽気な結婚舞踏会や晩餐や、音楽や舞踊の代りに、彼等は五十里も隔たった修道院に参詣に出掛けるのであった。多くの人々はこの企てに賛意を表していた。モデスト・アレクセーイチは既に官職も高いし年齢も相当進んだ方だから、騒々しい婚礼などは全く似合わしくないだろう、と

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • チェーホフ全集 10
  • 中央公論社
  • 1960(昭和35)年4月15日初版発行、1980(昭和55)年9月20日再訂再版