じさのないふたつのしま
時差のないふたつの島

冒頭文

1 眠りから覚めて目を開くまでの時間は、ごく短い。二秒ないだろう。 目を覚ましたぼくは、自分が寝ている場所の香りにあらためて気づき、いつもの自分の場所ではないところに自分が眠っていたことを認識しなおした。 ぼくは、目を開いた。天井が見えた。見なれない天井のたたずまいに、部屋の香りはよく似合っていた。香りというよりも、匂いだろうか。ベッドに違和感があった。なれた自分のベ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時差のないふたつの島
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1987(昭和62)年3月25日