ぼくたちはあいするけれど
僕たちは愛するけれど

冒頭文

「誠(まこと)さんおいでよ、ねこの子(こ)がいるから。」と、二郎(じろう)さんが、染(そ)め物(もの)屋(や)の原(はら)っぱで叫(さけ)びました。 誠(まこと)さんにつづいて、二、三人(にん)の子供(こども)らが走(はし)ってゆきますと、紙箱(かみばこ)の中(なか)に二ひきのねこの子(こ)がはいっていました。 「だれか、捨(す)てたんだね。」 「橋(はし)の上(うえ)に置(お)いて

文字遣い

新字新仮名

初出

「子供テキスト」1934(昭和9)年10月

底本

  • 定本小川未明童話全集 10
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年8月10日