ぼくがかわいがるから
僕がかわいがるから

冒頭文

正(しょう)ちゃんの、飼(か)っている黒犬(くろいぬ)が、このごろから他家(よそ)の鶏(にわとり)を捕(と)ったり、うきぎを捕(と)ったりして、みんなから悪(にく)まれていました。こんどやってきたら、鉄砲(てっぽう)で打(う)ち殺(ころ)してしまうといっている人(ひと)もあるくらいです。けれど、正(しょう)ちゃんは黒犬(くろいぬ)をかわいがっていました。 「クロや、もう僕(ぼく)といっしょでなけ

文字遣い

新字新仮名

初出

「台湾日日新報」1936(昭和11)年5月22日

底本

  • 定本小川未明童話全集 11
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年9月10日