ねこ |
| ねこ |
冒頭文
黒(くろ)ねこは、家(うち)の人(ひと)たちが、遠方(えんぽう)へ引(ひ)っ越(こ)していくときに、捨(す)てていってしまったので、その日(ひ)から寝(ね)るところもなければ、また、朝晩(あさばん)食(た)べ物(もの)をもらうこともできませんでした。しかたなく、昼間(ひるま)はあちらのごみ箱(ばこ)をあさり、こちらのお勝手口(かってぐち)をのぞき、夜(よる)になると、知(し)らぬ家(いえ)のひさし
文字遣い
新字新仮名
初出
「愛育」1937(昭和12)年1月
底本
- 定本小川未明童話全集 11
- 講談社
- 1977(昭和52)年9月10日