どくらくえん
独楽園

冒頭文

この書をわが老母と妻に 早春の一日 読書にも倦きたので、庭におりて日向ぼつこをする。 二月の太陽は、健康な若人のやうに晴やかに笑つてゐる。そのきらきらする光を両肩から背一杯にうけてゐると、身体中が日向臭く膨らんで、とろとろと居睡でもしたいやうな気持になるが、時をり綿屑のやうな白雲のちぎれが、そつと陽の面を掠めて通りかかると、急に駱駝色の影がそこらに落ちかぶさり

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 独楽園
  • ウェッジ文庫、ウェッジ
  • 2009(平成21)12月28日