しんぱくのはなし
しんぱくの話

冒頭文

高(たか)い山(やま)の、鳥(とり)しかゆかないような嶮(けわ)しいがけに、一本(ぽん)のしんぱくがはえていました。その木(き)は、そこで幾(いく)十年(ねん)となく月日(つきひ)を過(す)ごしたのであります。 人間(にんげん)のまれにしかゆかない山(やま)とはいいながら、その長(なが)い間(あいだ)には、幾多(いくた)の変化(へんか)がありました。人(ひと)の足(あし)の踏(ふ)み入(

文字遣い

新字新仮名

初出

「民政」1933(昭和8)年10月

底本

  • 定本小川未明童話全集 10
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年8月10日